経営改善計画策定支援事例

 

銀行へ提出する「経営改善計画」は中小企業診断士と一緒に進めよう!

1.経営改善計画策定支援事業(三重県中小企業活性化協議会)とは

本事業は、金融支援を伴う事業再生が必要な中小企業・小規模事業者を対象として、中小企業診断士等の専門家(認定経営革新等支援機関)が「経営改善計画」の策定を支援し、事業再生・再チャレンジを促す国の制度です。必要となる費用の2/3は中小企業活性化協議会が負担します。

メイン取引金融機関が求める「経営改善計画書」を作成する際に利用することができ、関係金融機関、中小企業診断士等の専門家、当該企業の三者の連携のもと、事業の立て直しを進めて行く事業です。

2.具体的な取り組み内容

取り組みをA社の事例(建築板金加工業:売上高5千万円)で見ていきましょう。

(1)制度利用の開始

A社は、地元大手工務店から屋根・外壁等の板金加工の仕事を専属で受託する下請業者でした。突然の大手工務店の廃業で、元来の赤字体質もあり、借入金の返済に困る状況に陥りました。A社は後継者であるご子息への事業承継の時期でもあり、高い技術とやる気を持ち地元に不可欠な事業として、事業継続を目指し、メインバンクが本事業の利用をA社に勧めました。ビジネスモデル自体を抜本的に再構築させる必要性から、経営コンサルタントの唯一の国家資格である中小企業診断士の利用を決め、三重県中小企業診断協会(以下当協会)への支援依頼となりました。

(2)取り組み手順

担当の中小企業診断士は、A社の社長と後継者の思いや夢をヒアリングして、中長期の事業計画を策定し、その実行に伴走していきます。

①  経営改善計画書の検討と作成

現状分析として実態の財政状況と事業内容を把握した後、社長と後継者と伴に、再生に向けた経営ビジョンを定め、実現にむけた5カ年の改善事項を検討します。A社の強みは、後継者が職人レベルの高い加工技術を持つとともに、コミュニケーション力が高い点です。下請体質の脱却を目指し、新たに直接顧客開拓の営業活動を行う改善の方向性を定めました。また赤字体質に陥った原因が、ドンブリ勘定的な利益管理であったため、工事毎の原価の把握を行う計画としました。この方針に従い期待できる売上高、目標利益率などから財務計画を作成し、資金プランを作成します。

②  バンクミーティング(関係者会議)での協議と連携

社長と後継者が納得する「経営改善計画書」ができれば、関係金融機関に集まってもらい金融支援(返済のリスケジューリング)を含む計画内容を説明します。質疑応答のあと、出席者から出た意見を取り入れ修正し、全関係金融機関から計画への同意書をもらいます。A社は計画に沿いアクションプランの実施に取り組み、関係金融機関は金融支援を行いサポートします。

③  モニタリングと伴走支援

計画後3年間はA社への伴走を行います。A社の場合は半年単位に進捗チェックのモニタリングを実施します。計画を策定した中小企業診断士が進み具合を確認し、アドバイスを行います。A社は当初、施主さんへの営業経験なかったため、チラシの作成や営業トークなどの営業面での支援を中心に行いました。これら関係機関による連携したサポートにより、従来型の下請受注に加えて、直接施主から受注する元請受注の比率が高まっており、A社の事業基盤は安定しつつあります。

3.利用の薦め

 中小企業診断士を利用して経営改善計画策定を進めると、A社のように経営課題を深掘りし、事業構造を再構築し、事業者の夢を実現する手助けが可能です。当協会所属の中小企業診断士は、個々深い専門知識と伴に高い職業倫理意識を持っており、関係金融機関との橋渡しを行います。本制度を利用の際は、中小企業診断士の活用をご検討下さい。


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