事業承継支援事例

 

公的な相談窓口と中小企業診断士の連携による事業承継支援の取組み

1.「事業承継支援における専門家派遣事業」の概要(経済産業省委託事業)  

 2.A社の支援事例紹介

 (2)支援内容

①A社の現状分析を行なった後、代表者とBが同席の場でA社の現状と取り組むべき課題を整理し、認識を共有した。
②代表者とともに、Bに不安を和らげるため、会社の実態を丁寧に伝えたり、必要とされる統率力や知識の取得方法、後継者となることのメリット、デメリットなどをわかりやすく説明した。
③事業承継に至るまでに解決すべき課題と方策の実施をスケジュール化して、Bを後継者とする事業承継計画案を作成したうえで、代表者やBとディスカッションを行った。
④双方が事業承継計画に合意し、円滑な事業承継の準備を開始することとなった。

(3)計画の骨子
①Bは、事業承継までの間、取締役に就任し、経営に必要な能力・知識を習得する。また毎月取締役会で経営情報を共有し、業績把握や意思決定を行う場とする。
②代表者は、社内外の関係者に早目のアナウンスを行い理解を得るとともに、代表退任後も引き続きサポートに努める。
③計画的な借入金削減と経営者保証解除に関する支援スキームを利用できるよう財務改善や体制整備を行う。
④Bとその家族の希望や意向を十分に尊重し、計画変更等柔軟に対処する。

3.成果

(1)事業承継について第三者を交えた議論の場を設けたことで、忌憚ない意見交換がなされ、代表者と後継者の双方が納得できる結論が得られた。
(2)A社の課題とその解決の方向性につき、経営者と後継者の合意が形成されたことで、事業改善の取組み強化が期待できる。

 4.中小企業診断士の役割

  事業計画や戦略の立案支援は、中小企業診断士の得意分野となります。その中に含まれる知的財産も含めた企業実態の把握は、事業承継に欠かせないものであり、事業承継計画の根幹となるものです。また中小企業診断士は、経営者や後継者との「対話」を基礎として事業計画を作り上げます。事業承継支援において重要となる「対話力と幅広い知識」を備えた中小企業診断士は、事業承継支援者として中心的な役割を果たせると思います。


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