建設土木会社の防災対策と事業継続体制の実現

 1.ご相談の内容

 地域の建設企業として、災害等が発生した場合、インフラ復旧工事に着くことが求められるが、何も備えができていない。自社の身の丈に合った取り組みを進めていきたい。

 

2.状況・課題

 本社や社長自宅付近のハザードマップ等を確認したところ、巨大地震発生時には震度6弱以上の揺れや津波が想定され、大雨の際には洪水による浸水被害もあることが判明した。現状では、従業員の安全確保や早期の復旧活動に支障が出る恐れがあり、減災対策や初動対応のルール作りが必要であることが分かった。

 

3.指導・支援

 簡易版BCPといわれる経済産業省の「事業継続力強化計画」の仕組みを活用して、災害が事業活動に与える影響を整理し、初動対応として必要となる項目や、事前対策の具体的な推進を支援した。

 特に従業員との速やかな連絡や安否確認を重視し、システム導入や複数の連絡手段(携帯電話、メールアドレス、SNS等)を用意した。加えてオリジナルの携帯カードも作成し、初動対応の発動基準や手順を従業員がいつでも確認できるように工夫した。また二次災害を防ぐために「二次災害防止計画」の作成を支援。震災時の火災発生、クラック発生、濁水発生、水道管破損など、ケースごとに具体的な対応手順を作成した。

 

4.成果・効果

 まったく取り組みを行っていない状態からのスタートだったが、事業継続力強化計画によって無理なく災害対応力を高めることができた。またいずれは行政からBCP策定を求められることも踏まえ、当初から本格的なBCPを視野に入れて検討を行った。その成果として、発災後24時間以内の災害協定業務の着手を目標として全体手順を作成することができた。

 その後令和5年に三重県の「三重県建設BCP登録制度」が始まったが、これまでの取り組みが役立ち、無事に登録を受けることができた。登録企業は総合評価落札方式の入札において加点評価となるため、本取り組みの効果を実感している。

 


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