鮮魚の移動販売事業の収支改善

1.ご相談の内容

 鮮魚の移動販売を行っているが、燃料高騰も嵩み利益がでない。鮮魚の確保も時期によりムラがあり、移動販売事業の見直しを検討したい。

 

2.状況・課題

 事業者は買参権(生産者が市場に水揚げした魚介類を、卸売人を通じて購入する権利)を持っていないことから、仲買人経由の仕入れで鮮魚の確保にムラがあり、安定供給に課題があった。また、販売している場所が商業施設が中心で、商業施設に支払う手数料15~20%が利益を圧迫していることや、移動距離が長いことが判明した。実際に同行調査をすると、移送販売車の職員1名によるワンオペで仕入れと値決めが行われていた。仕入れや値決めも職員の「勘」に頼ることが大きく、周辺と比べかなり安く販売していることがわかった。

 

3.指導・支援

 まず、移動販売ルートの見直しを行った。特に、手数料のかかる販売先を減らし、移動ルート上で他に卸せる飲食店や、高齢化した住宅団地など移動販売適地の洗い出し、旅館等への配達の可能性も検討して、新たな運行ルートを作成した。これにより販売箇所が倍増し、手数料のかからない場所を中心に選定することができた。

 また、鮮魚のみならず、鮮魚のカットサービスや、他の惣菜や仕入れ品、加工品の販売等、利用者目線からの品揃えを行った。長期的には買参権の取得を目指すことで、仕入れの安定と改善を図るように助言した。仕入と値決めについては職員の「勘」に頼るのではなく過去の売価をデータ化してデータを活用した仕入れと値決めをするように提案した。

 

4.成果・効果

 短期的には提案した運行ルートの運用及び、値決めはいったん本部に確認し、適正な売価を決定する運用と販売データもデータ化する取り組みを行った。

 これにより、赤字体質の移動販売事業の収支の改善が認められたが、鮮魚の安定的な確保の点では課題が残ったので、長期的には買参権の取得により、仕入れの安定が求められる。

 


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